ひちわゆか
書籍名:プラクティス
出版社:ビブロス
感想:
サラリーマン高屋敷芳史が出張先の朝、二日酔いの目を覚ますと見知らぬ男が隣にいた。しかもラブホ。相手の男は年下で澤田と名乗った。芳史は澤田を拒絶するが、臆病で色恋に不慣れな芳史のことを知った澤田は、彼にエッチの手ほどきをしてくれるという。過去に不感症と罵られた経験のある芳史は、澤田にまかせてみようと思った。
あんまり萌えませんでした。
内気で奥手な受けに年下の攻め、わりと好きな内容なのですが、気に入らなかったな。
何故だろうか。
奥手設定だからせめて攻めがおれ様だったらよかったような気がする。せめて慇懃無礼だったらなぁ。
主人公の2人がお互いに気を使い合ってたので、小説に引き込まれず気持ちが添わなくて、だんだん失望していった感じです。途中から飛ばし読みになりました。
作者がエロエロを書きたかった、というだけあって、エッチはいろいろありましたが、これも私のツボではなかったので、エロかったけどそれだけでした。
「プラクティス2」で澤田が芳史をわざと無視して焦らすのは良かったです。恋愛に駆け引きは必要なのね。
評価:D
エッチ度 ☆☆☆☆☆
感動度 ☆★★★★
ワクワク度 ☆★★★★
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書籍名:昼となく夜となく
出版社:ビブロス
宝石を食べる物体のお話・・・ダイヤ食いのセラヴィかい?と思っちゃいました。セラは青い箱状の物体で、擬態はするけど外見は人間ではないので、カズナとは全く異なりますね。
内容:
鷹倉は父を死に追いやった化け物を探していた。その化け物は宝石を食し、不老不死で美しいという。どん底から這い上がり、一流企業のトップに成り上がった鷹倉は、化け物に懸賞金をかけ、新聞に広告を出した。そこにカズナが現れる。カズナは鷹倉の目の前で宝石を食して見せ、彼が目的の化け物だと知るが、彼は予想に反しボロボロの姿の男だった。鷹倉の目的はカズナへの復讐であり、目的を果たすが、状況は思わね方向へと進む。そしてカズナの真実を知り、鷹倉は彼に惹かれていくのだった。
感想:
この本、出版された当時からその存在を知ってたのですよ。でも買う気になれなかった。理由はカズナが人間ではなかったから。ちょっと拒否感がわいてきて・・・おまけに昼となく夜となくって、それほどなにすんの?ってヨコシマ感情でした。
本を読み始めてもそれが払拭されず、ちょっと後悔したけど、どっこい、よかったですよ。
一番良かったな、と思えるのは老年期のお話です。年老いた鷹倉とカズナが手に手をとって散歩エピソードとか、すっごくよかった。
ラストでおおぶりの真珠をメイドが見つけますが、彼女が真珠を着服するのでは?!と心配したのです。でも取り越し苦労でした。きちんと鷹倉の胸ポケットに入れてくれた時、涙がちょちょ切れました。
時代背景がわかりにくかったな。30代の鷹倉が携帯を持ってたのでカズナと出会った頃が現代か、と理解できたのですが、じゃあ、老年期はいったいいつの時代?
私としては、老年期が現代で、30代の頃は昭和中期がよかったな。家はマンションではなくて、大きな洋館のような一戸建てがいいと思いました。
『11月の花嫁』がこれまたツボでした。
と言っても、最初はこれも、嫌がる少年をヨレヨレの老人が飼い慣らし、愛人育成を行うって、ちょっとイヤかも・・・って思ってたのです。グロいもん。16歳と70歳でねぇ。少年に花嫁の格好で、おまけに使用人の前でエッチか、それはイヤだなってな感じでした。
一顕が老人に媚を売って取り入ったあたりから、いけました。浮気したフリして老人を激昂させて殺し、全てを手中に入れる。でも本当の目的は雨宮を
手に入れることだった・・・って。自分を老人に差し出した男なのに。老人の犬なのに。嫌いなのに意識してたんですね。雨宮も一顕に独占されたがってる。切ない系ですね。こんな話に何故弱い?私!
イラストは高永ひなこさんという方でした。この方、カラー絵と文中の白黒絵の印象が全く違う!なんで?
表紙の絵がよくなかったです。萌えないもん。この絵も気に入らなくて本を買わなかったんですよ。
それなのに、なんで白黒絵になると、こんなに愛らしいカズナ、精悍な鷹倉なわけ?カラー絵とは別人に見える。
評価:B
エッチ度 ☆☆☆☆★
感動度 ☆☆☆☆★
ワクワク度 ☆☆☆☆★
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書籍名:12時の鐘が鳴る前に
出版社:ビブロス
内容:
朋也、5歳。秘密の場所で泣いていた朋也を慰めてくれた男の人の忘れ物を拾う。アンティーク懐中時計の鍵だった。
朋也、17歳。その鍵の持ち主を探していた朋也は、それが縁で知り合いになった三上にバイトの紹介をされる。足を骨折し、さらに医者休業中の叶公顕の身の回りの世話が仕事の内容。しかし、とっかかりから叶の態度は友也を拒否していて、朋也を点数で表現したり、乳首のサイズを測れだのと失礼極まりない。叶は朋也にバイトを断るように仕向ける。しかし朋也は元来負けず嫌いで、家政夫の仕事をこなしていく。そんな中で、朋也は叶の隠れた思いやりを知り、心惹かれるのだった。
感想:
朋也くん、可愛いです。お中元の活車海老にエサは、思わず爆笑でした。叶に食われてしまった海老くんのお墓をきちんと作ったり、乳首のサイズを測れと言われて本当に測ったり。
デリヘルも「不自由してる人に社員を派遣する」ことだって思い込むんですね。純粋な17歳のオトコノコです。
叶が朋也に言った暴言の主体は、朋也をデリヘルのバイトだと勘違いした結果なのですが、その勘違いを上乗せする「(叶)いくらで雇った?」「(三上)600」。つくづく、この三上って男は2人のキーマンですね。
600円と言えば察しはつくのに、600はなかろう。(ついでに、時給600円は安いね)
叶の骨折の原因も三上だし、この男はもしかして友也と叶をくっつけようとしてたのか?と思ってしまいました。
ちょっと疑問なところもありましたね。
ひどかったというアトピーの皮膚が大人になって美しい肌になれるのかとか、敏腕脳外科医がまったく畑違いの小児科に転向するか、とか。現実的なこと書いてるな、私。
評価:C
エッチ度 ☆★★★★
感動度 ☆☆★★★
ワクワク度 ☆☆☆★★
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書籍名:最悪
出版社:ビブロス
内容:
やり手のエリートサラリーマン、橘英彦が出張先のホテルで再会した男は、大学時代恋人だった有堂京一だった。昔から、服も靴下もは脱ぎっぱなし、風呂に1時間も入り、風呂上りはビチャビチャで散らかり放題、巨人とタバコとビールが好き。傲岸不遜だが強運の持ち主。大学時代に金融業を起業するという実力の持ち主だった。行きがかりでホテルの部屋で共にすごし、トラブル発生に力を貸す有堂。その夜、英彦は久しぶりに有堂と肌を合わせる。羨望と嫉妬がないまぜになった感情を、英彦はもてあますのだった。
感想:
素直に、面白かった!すっごく楽しめました。
お互いにライバルで、自分のスタンスの向上に努力し、自分の感情の行方に葛藤する英彦。かっこいいです。
山羊男の言葉に挑発されてストリップしそうになるとこなんて、意外性がありました。有堂から効果的な逃げ方も心得、でも有堂を切れないあたり、英彦に同情するのだけれど、でも多分、有堂の方が英彦のことを好きだと思うなぁ。
攻め男の有堂もいい男だけど、そんなことよりも彼はユニークです。カエル色の服とか、がたいはいいのにゴルフが下手とか、巨人が好き、競馬が好き、風呂場で1時間、遊ぶ。変な男だわー。
自分を強運の持ち主と信じてるし、すっごくよかったのは、有堂がピンチになったとき、英彦が有堂への投資として預けた1500万円をカッコつけずに受け取るところ。ここでカッコつけて受け取らないパターンが多いところを、受け取る。いいですね。でも使い道は博打だったけど。
絵が石原理さん。これがまたよかった。石原さんにしては珍しく、エロシーンけっこう描かれていました。英彦が色っぽいです。
評価:B
エッチ度 ☆☆☆★★
感動度 ☆☆☆★★
ワクワク度 ☆☆☆☆☆
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書籍名:キャンディ
出版社:ビブロス
ソフト調教ものです。
内容:
建築会社社員の嘉島匠には人に言えない性癖があった。ゲイでマゾヒスト。しかしある日、そのことをインテリアデザイナーの上杉紀章(きしょう)に知られたことから、調教の日々が始まる。心は拒否しても体は従順な匠。甘く包まれるような拘束は、匠の心を溶かす。上杉を愛してるということを自覚するけど、上杉の言った「奴隷はセックスの対象ではない」という言葉に苦しむ匠だった。
感想:
甘々です。乳首痛そうー。でも読んでも嫌な気分にはなりませんでした。
調教ものってあんまり好きではないのですが、このお話の場合、Sの上杉がMの匠を大事に扱ってるのがよくわかるので、嫌悪感を抱かなくてもすみました。
特に、「Sweet pain」の上杉の告白が最高に良かったです。
「嘉島さん、頼むから、もう勘弁してくれ」
上杉も匠と同じようにいつも相手のことを考えていたんですね。冷静沈着に見える上杉なのに、彼がそんなに苦しんでたなんて、読者の私も気付かなかった。彼に甘やかされる匠が羨ましい。(でも、痛いのは絶対いやだけどさ)
「MILK」は教師である上杉兄とその生徒のお話です。
Sである上杉兄の元へMの高校2年生あつむが押しかけ奴隷志願するというお話。
最初はあつむが高2にしては幼いかな、と思いました。中学生のほうが似合ってる感じ。謎の存在「MILK」に嫉妬して、いろいろ行動を起こすあつむです。その気持ちには共感できます。
上杉兄もいい男です。冷たいのか優しいのか、よくわからないところもステキです。私好みは上杉弟ですけど。
しかし兄弟そろってSってすごいな。
評価:B
エッチ度 ☆☆☆★★
感動度 ☆☆★★★
ワクワク度 ☆☆☆☆★
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書籍名:今宵、雲の上のキッチンで
出版社:ビブロス ビーボーイノベルズ
内容:
隠れ家的カフェ、ルフュージュのマネージャーである久住新(くずみあらた)は自覚できるほど人を虜にするような笑顔を持つ。しかし中味は辛辣な毒舌家。ルフュージュから見える高層ビルに住むセレブ・眞宮春臣(しんぐうはるおみ)は問答無用の天邪鬼。そんな2人の出会いは最悪だった。
自分に素直になれない眞宮を思いやったご意見番・多岐川のはからいで、新は眞宮に毎日お弁当を作る依頼を受ける。新の条件は、眞宮に自分の素性をあかさない事。
ある日、新は約束の食事を用意するために眞宮のマンションを訪れる。そこには、不在であるはずの眞宮がいた。新が出した「素性をあかさない」という条件に従い、眞宮は明かりをつけず話しかける。眞宮は自分の気持ちを素直に話し、新は筆談で答えた。暗がりで聞く素直な眞宮の気持ちに、次第に新の心は苦しくなっていく。
感想:
読後感がものすごく良い!!
なんでしょう、この幸福感は。
この作品、読んでよかった。
心と裏腹なことを言ってしまう眞宮の気持ち、わかるんだよね。何で心の中ではこう言えば好転する、と理解できるのに正反対のことを言っちゃうんだろう?そこに毒舌家ときたもの。天邪鬼と毒舌の応酬はハラハラもので、読者も多岐川同様、おせっかいでも焼きたくなろうというもの。おじ様の気苦労がしのばれる。
イニシャルNの秘密、なーるほど。そういうことか。Nとは何だろうって思ってました。
新が眞宮のことを少しずつ理解していく過程が微笑ましかった。
最初は眞宮の言う言葉と態度を、そのままの通り受け止めていたので、「なんだ!こいつ」って態度だったし、ルフュージュのギャルソンズも同じだった。言った言葉をあとで後悔してる新宮を知ると、どうしても気の毒になっちゃた。そんな傲慢不遜な男じゃないのになって。
だけど、暗がりでの会話によって、新は本当の眞宮の気持ちを理解できるようになり、よかったなぁ、って思ってたら、新の方が自分の行動を後悔するようになってしまい、「あー、じれったい!!」って思ってしまった。そこがいいんだけど。
新のシャワーシーンをのぞくシーン。すっごくステキだった。美しい背中だ。そのあとの展開も、ゾクゾクした。最後までしないところがすごくよかった。私も一緒にドキドキできた。
この2人のほのぼの感は、思うに、眞宮の純粋な気持ちではないのかな。新はどちらかというと、キリリとした印象。本質はへたれな眞宮の雰囲気が本全体を包んでくれ、読後感がこんなにいいのかも、と思った。
評価:B
エッチ度 ☆★★★★
感動度 ☆☆☆☆★
ワクワク度 ☆☆☆☆☆
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